2000年 2月 28日

 モニカ・セレスがオクラホマの大会で復帰第1戦を優勝で飾った。モニカも私が好きな選手の一人だ。相手が弱かろうが強かろうがコートの上では決して手を緩めない。いや、手を緩めたりできるほど器用ではないのかもしれない。対戦相手に対してこれ以上の礼儀はない。叩きのめされた相手はこれを糧に切磋琢磨する。

 私がモニカをはじめて見たのはあの事件の前、トヨタプリンセスカップがまだニチレイレディースの頃だ。針金のように細いからだですさまじいうなり声をあげ、修羅のごとくひっぱたく。鬼気迫るとはこういうものか。
 そしてあの忌まわしい事件が起こった。セレス時代到来と思っていた矢先だ。2年あまりを経て、モニカは帰ってきた。この空白の期間にモニカが失ったものはあまりにも大きい。しかし、得たものはそれ以上に大きいような気がする。勝っても負けてもゲームが終わったあとの穏やかな表情は、相手に対する敬意と思いやりが満ち溢れている。事件の前には見られなかったものだ。挫折は人を成長させる。

2000年 2月 27日

 ベトナムのチャレンジャー2回戦の結果がやっとアップされた。いつものスティーブさんのサイトではなくATPの公式サイトだ。めずらしい。本村剛一は6-4,6-1で快勝、石井弥起は3-6,3-6で負けた。3-6,3-6というスコアは微妙だ。試合内容によっては完敗という場合もあるし、ほんの僅かの差で惜敗ということもある。スコアだけでは判断できない。剛一くんには期待がかかる。全仏オープンの前にもう少しポイントを稼げば、本戦ストレートインも夢ではない。100位台というのはそういうポジションだ。連続して数大会、好成績を維持する集中力が必要だ。

 アディダスのCMがアンナちゃんやほかのアスリートを起用して盛んに流れている。ナイキのCMを多分に意識しているようだが、残念ながら二番煎じの感はぬぐえない。ナイキのCMのほうが数段出来がいいし、面白い。アディダスのCMなら、昨年流していた高速度カメラで撮ったCMのほうが格段にインパクトがあって素晴らしい。アンナがバックハンドボレーで飛びついていたやつだ。感性に訴えるものを創るのは難しい。

2000年 2月 26日

 ジャカルタの女子1万ドル大会の結果が不完全ながらアップされた。シングルスは高瀬礼美栗岡聡子が1コケ、金城理美梅原幸恵が2コケである。私のオキニ梅原幸恵こと梅ちゃんは2回戦、4-6,7-5,6-4で惜しい星を落としている。昨年の7大会連続1回戦負けよりはましか、よしとしよう。お気に入りにはどうも甘くなってしまう。ダブルスは梅原幸恵/山中麻央組が1コケ。

 3月6日から京都で始まる島津全日本室内テニス選手権の出場者の発表があった。男子はATPのチャレンジャー大会、日本選手は豪華なメンバーだ。JOPランキング上位6名のプロがすべて名を連ねている。鈴木貴男はリハビリからの復帰第1戦だ。外国選手もおなじみの選手が多い。李 亨澤マイケル・ヒルマーク・ニールセンダナイ・ウドムチョク、環太平洋のライバルが勢ぞろいだ。この中から抜け出したものがグランプリ大会への道が開ける。タイのスリチャパンはすでに脱出に成功している。
 うれしいのは昨日コラムで書いたばかりの福田勝司くんがワイルドカードでエントリーされていることだ。京都在住、地元の選手なのでもらえたのだろう。あまりにタイミングがいいので驚いている。ATPポイントはあまり持っていないので、ぜひとも1回でも勝ってポイントを稼いで欲しい。このあと国内でもフューチャーズが続くので断然有利になる。

 女子はJOPの大会であるが、近い将来日本のテニス界を背負っていくかもしれない若い選手がエントリーしている。藤原里華伊東千佐世新井由樹青山香織、それに梅ちゃんまで。おや、いつのまにか里華ちゃんが北日本物産の所属になっている。日本リーグの楽しみが増えたかな。梅ちゃんや里華ちゃんにはどんどん国際大会に出て欲しいが、関西の大会なのでスポンサーの関係があるのかもしれない。

 ダブルスの高校生ペアも新鮮だ。新井由樹(藤村女子)/藤原里華(湘南工科大付属)、山中麻央(二階堂)/青山香織(堀越)。山中麻央ちゃんには、昨年の高校新人戦で私の娘がだんごにされた。悔しいとかというレベルではない。実力の違いすぎ。
 なんでこんなおもろそうな大会が関西で開催されるんや〜

全員の写真があるというところが恐ろしい
左から新井由樹ちゃん、藤原里華ちゃん、山中麻央ちゃん、青山香織ちゃん

2000年 2月 25日

 ベトナムのチャレンジャーで1回戦を勝ち上がっている本村剛一石井弥起の2回戦の結果はまだ上がっていない。なぜ弱くてマイナーな日本選手を好き好んで応援するか。答えは簡単、身内の日本人が応援しなくて、いったいだれが応援する。強くなってから応援することは誰にもできる。世界のトップ選手は放っておいても、多くのファンがつく。応援サイトはそれこそ無数にある。仲間と一緒に飲みに行って誰かがカラオケを歌ったら、身内が拍手するしかないでしょ。それと同じ。たとえが悪い?ちなみに私はカラオケあまり好きじゃありません。

こう見えても?京男です
福田勝志くん
ちょっと寛平ちゃんに似ている

 きみは福田勝志を知っているか。JTAのサイトにはJOPのランキングが掲載されている。更新はカタツムリのように遅い。今載っているのは1月度のランキングだ。福田くんは増田健太郎プロの次、堂々11位にランクされている。三和ホームサービス所属のアマチュア、もしトップ10にでも入ろうならば日本一地味な、いや目立たないトップ10の選手であることは間違いない。福田くんはすばやいフットワークでボール拾いまくり、相手が嫌になってネットに詰めてきたところを、すかさずパスで抜くという典型的なベースラインプレーヤーだ。しかもダブルスもうまい。私は日本のマイケル・チャンと呼んでいる。
 お姉さんはワコールの福田あのり選手で、去年引退する予定だったのが引退しそこなったそうである。昨年の日本リーグではねぎらいの花束をもらい、今年の日本リーグでは功労賞だったかを受賞していた。

 私が福田くんを気に入っているのはプレーだけではない。控え目で几帳面な性格だ。コードエンドの時、決してタオルをばらけて汗を拭いたりしない。きちんと折りたたんだままで拭く。コートに出る時はタオルの四隅がめくれないよう、きちんと押さえる。いったん椅子から立ち上がり、めくれているのが気になって直しに戻ってくるのを何度か目撃した。コートに出る時の歩くコースはちゃんと決まっている。まずセンターラインまで進んでから、エンドラインへ向かう。自分にはまるで持ち合わせていない資質を目の当たりにして、無条件に感動してしまうのだ。本人が読んだら意識しすぎてプレイに悪影響が出るといけないので、この辺で止めておく。

2000年 2月 24日

 「王さまの耳はロバの耳」というコラムを「ロバ耳リポート」に改題した。ずっと気になっていたのだが、はたして題名ほど言いたいことを言ってきたのか、オブラートに包みすぎていなかったか、奥歯に物がはさまったような表現になっていなかったか、そりゃ自分のスタイルと違うやろ、ちょっとずるいんとちゃうか?などと少なからず反省するところもあり、思い切って模様替えすることにした。
 まずここでは文体を敬体から常体に変えることにする。テンポよく書きたいのと、短くてもいいから更新を頻繁にやろうという考えだ。そのかわり口が滑るかもしれない。もともと滑りやすい性格なのでしかたがない、母親の遺伝だ。滑った時にはお許しあれ!って謝るつもりはあまりないけど。謝るのが嫌いなのは親父の遺伝だ。自然の法則には逆らえない。本当は切りのいい月初めから替えるのがいいのだろうが、思い立ったらすぐやらないと気が済まない、これも母親の遺伝...<ええかげんにしなさい

 まずは気になる海外の日本選手、アジア各地ではトーナメント真っ盛り。インドのチャレンジャー本選は寺地貴弘、岩渕聡とも1コケ、岩渕はダブルスも1コケ。先週は寺地2コケの岩渕1コケ。はっきり言って、はがゆい。ランキングを下げないポイントは少なくとも1勝はすることだと思う。そうすれば勝率5割は確保できる。言うは易し。
 寺地くんは昨年まであまり海外には出ず、じっくり国内のフューチャーズなどでポイントを稼いできた。今250位である。国内だけでこれだけ順位を上げてきたということは、常に安定した成績を残してきたということだ。さすがにこれ以上のランキングを望むには海外に出るしかない、しかもチャレンジャーに。これからの活躍に期待したい。
 インドネシアF1予選は、加藤季温と田口亮太が2コケ、佐藤博康1コケ。インドネシアの女子1万ドル大会はまだ結果はでていない。更新が遅いので、来週になるだろう。

 テニス好きの人からインドに出張に行った時の話を思い出した。インドでは牛糞を敷き詰めたテニスコートがあるそうだ。公式試合があったらサーフェスを一体どう表現するのだろう。それから、一般の人がレンタルコートで遊んでも、小金稼ぎのボールボーイがちゃんとつくらしい。我々にとってはわずかなか金額だが、彼らにとっては貴重な生活費なのだろう。世界は広い。

 佐伯美穂ちゃんが引退したというニュースには驚いた。まだ23歳だ。この年齢で引退を決意するということはよっぽど怪我が思わしくないのか、よっぽど嫌なことがあったか...<おいおい。テニス同様、引退のし方も実に気前がいい。残念だがし方がない。1年前の全豪オープンでアンナのダブルフォールト病に付き合った、めちゃ荒っぽい試合が楽しかった。

 まだまだ言いたいことはあるが、あまり最初から飛ばすと息切れするので、今日はこの辺で。